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***保護具について***
これからの個人用保護具(Personal Protective Equipment, 略称PPE,一般的に保護具という)は、リスクアセスメントの中における保護具の位置付けを明確にしておく事が必要です。
リスクの低減対策としては、危険・有害な粉塵・化学物質、騒音・振動等のエネルギー、作業環境、作業方法を例にとりますと、まず最初に、物質の代替、生産工程の変更、遠隔操作・自動化・設備の密閉等の基本的な対策によりリスクを低減します。次に、局所排気装置や全体換気装置の設置等の理工学的な対策により、リスクの低減を図ります。それでも残るリスクを作業方法・作業姿勢の管理、作業時間の制限、保護具の使用、教育訓練等の作業管理的な対策により低減することになります。最後まで残るリスクが残留リスクとなります。
リスクアセスメントの中における保護具の位置付けは、上記の通りで、理工学的な対策を講ずることが困難な場合に用いられる二次的な対策であるということが分かります。
しかしながら、中小規模事業場等においては、経済的・技術的な理由により理工学的な対策を講ずることが困難な場合が少なくなく、保護具は今なお重要な安全衛生対策となっています。また、大企業においても、理工学的な対策を補完する対策として、保護具を理工学的対策と併せて使用する例も多く見受けられます。
保護具は、危険要因、有害因子から作業者を守る為に、作業者が身に付ける事によって、その効果を発揮するため、保護具の選択と使用には、次のような一連のステップが必要です。
@ 選 択 | |
保護具を選択する時は、下記 a,b,c の順に従って、最も適したものを選定するようにします。 | |
a.危険性、有害性の認識 | |
まず危険要因、有害因子は何か、その把握と程度(大きさ)を知ることから始まります。 | |
b.種類・性能 | |
次に、a
に適合する保護具の選択にあたっては、まず、保護具の種類とその性能が十分あるか確認します。性能を確保する為に、国家規格が制定され一部のものは、検定の対象品目に指定されていす。選択にあたって、適合品を選択するのは当然ですが、いくら高性能の保護具であっても、種類によって使用できる作業環境・条件や対象物質、使用可能な時間などには、限度があります。各保護具のガイドライン(取扱説明書等)に従って、危険要因、有害因子とその特性と程度に適した保護具を選択し、カッコ良さや、好みだけで選択しないように留意しましょう。 |
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c.人体への整合性(フィットネス) | |
保護具の性能を十分発揮させるためには、着用する作業者の人体に整合(フィット)していなければなりません。保護具は、人体への不整合、不快感を出来る限り伴わないように、寸法範囲、デザインなど着用しやすいものが開発されていますので、作業者の受け入れ易さも考慮して選択しましょう。 |
A 使 用 方 法 | |
性能がいかに優れていても、また人体への整合性が良くても、使用方法が適切でなければ、その性能の効果は期待出来ません。保護具のガイドラインに従って適正に使用しましょう。 | |
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B 保 守 ・ 管 理 | |
保護具は、新品の状態で性能がいかに優れていても、使用にともない損傷、摩耗などを伴います。また、経年変化による劣化など使用期間に限度がありますので、保護具の性能を維持するために適切な保守管理が必要です。わずかな損傷が命取りになる恐れもあり、使用前の点検が欠かせません。耐用年数は事前に把握して更新に備え、また、突発の事態に備え、予備品も用意しましょう。 | |
C 教 育 ・ 訓 練 | |
保護具の使用によって、多少とも行動の自由を束縛されたり、労働の負担(負荷)を強いられたりします。そこで、保護具をなぜ使用しなければならないか、保護具使用の意義の正しい理解、保護具の選択、使用、保守管理のノウハウを習得することが必要です。特に人体への整合性(フィットネス)を図るためには、正しい装着について訓練が欠かせません。 |
このように、保護具は単体ではいくら性能が良くても、選び方、使い方、保守管理を誤ると効果が著しく減少されます。保護具使用の効果をあげるためには、以上の@〜Cまでのステップを一つ一つ踏んでゆくプログラムが必要です。
マニュアル『やさしい保護具の知識』より
社団法人 日本保安用品協会